日本と世界の新型コロナワクチン接種率の比較
2021-05-14

セルスペクト(株)科学調査班編集
2021年5月14日更新

     

 日本政府は4月上旬より、医療従事者への予防接種開始、つづいて、65歳以上の人々への接種を進めています。

 調査によると、新型コロナウイルスのワクチンの受け入れ状況は、日本と諸外国とでは、大差はないようです。東京医科歯科大学のオンライン調査(2021年3月)によると、62.1%の人がワクチン接種を受けたいと回答しています。この結果は、2月に実施された共同通信の調査結果(ワクチン接種希望は63%)と、ほぼ同じでした。また、接種を希望している年齢層は40歳代と50歳代の女性が最も高い結果となりました。

 一方で、現在、日本で1回以上接種した人の割合 (接種率) は、イギリスやアメリカなどと比べて大きく遅れをとっています。世界平均の6%、アジア平均の3%よりも低い状況です。この遅れは、単にワクチン承認に向けた国内承認や、接種準備だけではなく、欧州連合 (EU) の輸出規制なども影響しています。また、国内製薬メーカーによるワクチン開発も遅れています。(→アンジェス、第一三共、塩野義、KMバイオロジックスはすでに臨床試験を開始しているが、市場に出るまでにはまだ道のりがある。)

 4月中旬の時点で、世界で最も予防接種率が高い国はイスラエル (61%) 、英国 (48%) 、米国(37%)です。アジアで予防接種率が高い国は、シンガポール (19%) 、香港 (8%) 、インド (7.5%) 、中国 (6%) です。また、アジアでワクチン接種の進捗が最も少ない国はベトナム(0.06%)と台湾(0.1%)です。

 予防接種が世界的に効果をあげていることを最初に示したのはイスラエルでした。同国は接種率でも、世界をリードしており、2月までに70歳以上の84%以上が2回接種を完了させています。また、ワクチン接種後には、重症者や死亡者は急速に減少したと発表されています。英国の別の調査でも同様の結果が示されています。

 今では、ワクチンとウイルスの死闘となっています。新たな変異株が新たな脅威となっており、ワクチン接種の効果よりも、ウイルスの突然変異、季節、マスク使用の有効性、社会的距離の確保など、他の伝播性の要因も影響しています。やがて、ワクチン接種率の上昇により、世界中でパンデミックの負担が緩和されるはずです。しかし、再流行する中で医療システムへの負担は未だ軽減されているとは言えず、医師や看護師がワクチン接種スケジュールについていくことができないかもしれないという懸念があります。一方、東京五輪の開催が近づいていおり、ワクチン摂取率の向上を含めた感染防止のためのあらゆる対策が議論されています。

 

4月9日現在ワクチン接種率
日本0.91%
アジア3.28%
世界5.91%
イスラエル61.64%
米国36.57%
イギリス47.62%
インド7.5%
中国6.4%
香港8.21%
シンガポール19.34%
韓国2.42%
台湾1.1%
ベトナム0.06%

図1 各国のワクチン接種率
出典:Wour World in Data (4月14日更新) 

 

引用文献:

1.Balbir B Singh et al. 2021 Apr12 “Japan trails world in COVID vaccine rollout 2 months after its start” JapanToday News.
2.Our World in Data (Oxford): https://ourworldindata.org/team
3.Covid-19 Vaccination Tracker: https://www.pharmaceutical-technology.com/covid-19-vaccination-tracker/

 

<免責事項>
本情報は、当社の販売商品やサービスとは一切関係ありません。また、記載内容はあくまでも編集者の主観に基づいたものであり、その正確さを保証するものではありません。より、詳しくは、上記の引用文献にある公的報告書、査読付き論文を参照してください。本記載内容を転載することは自由ですが、これにより発生したいかなる事象についても弊社では一切責任を負いません。

いいね!済み いいね!
8 人が「いいね!」しました。
アクセスランキング