セルスペクト(株)科学調査班編集
2022年8月12日更新
米セントルイス・ワシントン大学が7月に、新型コロナに再感染すると、死亡や血栓、脳、肺の損傷などが起きるリスクが2倍になると発表した。感染力が強く、体内にできた抗体が効かないとされるオミクロン株の系統「BA.4」と「BA.5」が急速に広まる中、研究結果が実証されれば、さらなる感染予防策の徹底が求められる。
同大は、再感染による健康リスクを調べるため、米退役軍人560万人の医療データを検証。1度感染した人(約26万人)、2度以上感染した人(約3万9,000人)、感染していない人(約540万人)の健康記録を比較した。
その結果、2回以上感染した人は、最初の感染から半年以内に亡くなる可能性(死亡率)が、1回目の感染時と比べて2倍超となり、入院率は3倍超だった。また、肺と心臓の疾患(循環器疾患、血液凝固など)、倦怠感、胃腸と腎臓の疾患、糖尿病、筋骨格系障害、精神・神経系の障害のリスクも高かった。
今後は、対象者が感染、再感染したのはどの株だったのか、ワクチンは接種済みだったのかなど、細かい検証をする必要がある。重症化率が高い初期の変異株の再感染であれば、死亡・重症化のリスクが高まるのは当然だからだ。
米国の新型コロナ感染者(7月時点)の内訳は、54%がBA.5、17%がBA.4だった。一般的な感染症は、体内に抗体ができれば再感染を防げるが、これらの系統はそうではない。
米国含め多くの国は、感染予防対策の規制を緩和し、ワクチン接種から死亡や入院のリスクを下げる方針でいる。上記の結果通り、再感染が死亡や健康被害を高めるのであれば、感染予防対策の強化が求められる。
再感染者の増加を防ぐことは、ウイルスの進化を遅らせ、致死率や免疫回避力の高い変異株の出現を減らすことにもつながる。引き続き、感染への警戒が必要だ。
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