肥満や栄養過多が増えている中で、密かに問題になっている「低栄養」。
みなさんはご存知でしょうか。
低栄養状態が続くと自力で歩けなくなる他、病気にかかりやすくなったり、死亡リスクが高まったりすることがわかっています。
そこで今回は、実は怖い低栄養を解説するとともに、簡単な予防法をご紹介していきます。
低栄養とは、その名の通りからだに栄養が足りないこと。
主にエネルギーとたんぱく質が欠乏し、健康的なからだを維持するために必要な栄養素が不足している状態を低栄養(PEM:たんぱく質・エネルギー低栄養状態)と言います。
加齢に伴い、咀嚼・嚥下能力の低下や消化能力の低下、体力や気力の低下による活動量の減少などが原因で、食欲が落ちてしまい、慢性的な低栄養状態に陥る人が多くいます。
また、低栄養は将来寝たきりになる原因となる「ロコモティブシンドローム」や「サルコペニア」の加速要因ともなるので、予防することがとても大切です。
では、低栄養になると、どんな症状があるのでしょうか。
主な低栄養の症状は、
・体重の減少
・骨格筋の筋肉量や筋力の低下
・元気がない
・かぜなどの感染症にかかりやすく、治りやすい
・傷や褥瘡(床ずれ)が治りにくい
・下半身や腹部がむくみやすい
・脱水症状
などがあります。
また、低栄養は自覚症状が無いことが多く、本人も家族も気づきにくい傾向があります。
低栄養のリスクを見極める目安は、体重が6か月間に2~3㎏減少、または1~6か月間の体重減少率が3%以上の場合や、体格指数(BMI)が18.5未満のやせの場合は注意。
日頃から食事量や体重が極端に減っていないかなど、注意しておくことがとても大切ですよ。
そして、低栄養は身体計測や血液検査値から発見することができるので、健診などで検査した際は確認するようにしてみてくださいね。
低栄養を予防するためにはどうすればよいのでしょうか。
低栄養を予防する方法について、ご紹介していきます。
1. たんぱく質をしっかり摂る
たんぱく質は、不足すると筋肉量の減少がおこるので、しっかりと摂ることが大切です。
中でも栄養価の高い動物性たんぱく質が含まれる肉類や魚介類、卵、牛乳、乳製品を選んで摂るといいでしょう。
調理する時は、柔らかくて嚥下しやすいようなメニューにしてあげることも大切。
ほぐれやすい白身魚にしたり、とろみをつけてあげると食べやすくなりますよ。
2. 食事の摂取量を増やす
1日3食の食事で1日に必要なエネルギーやたんぱく質を補うことが大切です。
少食で1度の食事で量を食べられない場合は、間食を利用して栄養素を補いましょう。
牛乳や乳製品、卵、豆乳、果物、芋などがおすすめですよ。
3. 栄養補助食品の活用
栄養補助食品は、食事だけでは補えない栄養素を手軽に摂取することができる、とても便利な食品です。
エネルギーやたんぱく質が補える商品だけでなく、骨の強化に必要なビタミンDが含まれるものなど、からだに必要なビタミンやミネラルを補えるものもあります。これらの商品もいつもの食事にプラスしたり、間食として上手に活用してみるといいですね。
低栄養を予防するためには、食生活をととのえることが必要不可欠。
栄養満点の食事を心がけていきましょうね。