オミクロン株対応「2価ワクチン」、日本でも接種始まる
2022-09-09

セルスペクト(株)科学調査班編集

2022年9月9日更新

 

 

 新型コロナの変異株「オミクロン株」に対応したワクチンの接種が、日本でも9月中から始まる。使用するワクチンは、米製薬大手モデルナが開発した「Spikevax bivalent Original/Omicron」で、オミクロン株の系統の一つ「BA.1」と従来株に対応する〝2価ワクチン〟と呼ばれるもの。

9月半ばに全国の自治体に発送され、まず基礎疾患を持つ18歳以上の成人、60歳以上の高齢者、医療・介護従事者に接種する。

 

 

 モデルナの臨床試験によると、4回目のワクチン接種にこのワクチンを使用した人は、従来のワクチンを接種した人に比べて、BA.1の働きを抑える中和抗体の値が1・75倍になった。 ワクチン無接種者の中和抗体と比べると、8倍もの中和抗体が見られた。

 さらに、オミクロン株の別系統の「BA.5」に対する中和抗体は1・69倍だった。つまり、いま世界で最も感染者が多い系統「BA.4」「BA.5」にも、効果があると見込まれている。

 

 

 米国では今後このワクチン以外に、「BA.4」と「BA.5」対応型と言われる新ワクチンも普及させる予定だが、欧州や日本は、BA.1対応型でも(BA.4とBA.5に)十分効果があるとみて、BA.1対応型の接種を進める。

 

 

 なお、このワクチンは接種から5~6カ月経過すると効果が弱まることから、厚労省は早くも5回目の追加接種を計画している。高齢者や持病がある人など、重症化の可能性が高い人が対象。オミクロン株対応のワクチンを使用する予定で、モデルナ製かファイザー製かは専門家の検討で決まる。

 

 

 ワクチンを適切な間隔で接種すれば、中和抗体の値が維持され、重症化や死亡の可能性を減らすことができる。新しいワクチンが次々開発されているが、種類にこだわらず接種していくことが、感染予防の力を最大限に高めることになる。

 

 

 

引用文献:

  1. BECKY SULLIVAN, Aug 16, 2022 “The U.K. approved omicron-specific booster shots. They're coming to the U.S. soon” n.p.r. Science
  2. Zoey Becker, Jul 11, 2022 “Moderna's omicron booster triggers stronger response against subvariants than its original shot, company says” Fierce
  3. Alex Millson and Dong Lyu, Aug 16, 2022, “What You Need to Know About Moderna’s New ‘Bivalent’ Covid Vaccine” Bloomberg

 

 

 

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