セルスペクト(株)科学調査班編集
2022年11月25日更新
マウスウォッシュ液(洗口液)に含まれている少量の殺菌成分「セチルピリジニウム塩化物水和物(CPC)」が、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を不活化させる(感染力を失わせる)ことを、北海道大学大学院歯学研究院の樋田京子教授らの研究チームが8月に公表した。
市販のマウスウォッシュ液が新型コロナの発症、重症化を防ぐことを明らかにした。
CPCは、新型コロナウイルス表面の脂質膜(エンベロープ)を破壊し、ウイルスを不活化させる。ただ、この作用は、250µg/mL以上の高濃度での効果は以前から知られていたが、マウスウォッシュ液に使用される50µg/mL程度で効き目があるかわからなかった。
そこで、同研究チームが30~50µg/mL程度のCPCによる効果を検証。少量の場合、CPCはウイルスの「タンパク質」を壊し、(10分程度で)ウイルスの感染力を失わせることがわかった。
ウイルスの変異で変化したタンパク質であっても、CPCは作用(反応)することから、初期に流行した武漢株だけでなく、アルファ株、ベータ株、ガンマ株といった変異株にも効果を発揮する。
また、同量のCPCであっても、CPC単体よりも、マウスウォッシュ液のCPCの方が、殺菌効果が高いこともわかった。唾液でCPCの効果が薄れることもなかった。このメカニズムは研究中である。
新型コロナは、口や鼻を感染経路とする飛沫感染(エアロゾル感染)で広がる。口に含むマウスウォッシュ液での殺菌は、非常に効果的な感染予防策になる。
マウスウォッシュの抗ウイルス効果が確証されれば、ドラッグストアで販売されている身近な日用品で感染予防が可能になる。研究の進行に注視したい。
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