セルスペクト(株)科学調査班編集
2023年3月17日更新
新型コロナウイルスが5月8日から、インフルエンザと同じ分類の5類に引き下げられることになった。
屋内でのマスク着用の指導が緩和され、現在は無料になっている検査や入院が自己負担となる。高額な治療薬やワクチン接種は、引き続き無料とされる方針だが、徐々に見直される可能性がある。
感染拡大を防ぐための措置の撤廃に伴い、感染拡大や医療ひっ迫のリスクが懸念されている。
新型コロナウイルスは、感染症法(正式名称:感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律)上で、現在は「新型インフルエンザ等感染症」に分類されている。
同法では、ウイルス(病原体)を感染力や重症化の危険度によって分類しており、1~5類(1類は最も感染が広がりやすく、重症化しやすい病原体。エボラ出血熱やペストなどが指定されている)、指定感染症、新型インフルエンザ等感染症、新感染症と分類している。
新型コロナは感染拡大当初、2類に分類されていたが、2021年2月から新型インフルエンザ等感染症に変更された。
危険度は2類のまま、急速なまん延の恐れがある新しい感染症とされ、入院勧告や就業制限、外出自粛要請、健康状態の報告などを求める措置が講じられた。
政府、都道府県に新型コロナウイルス感染症対策本部が設置され、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置、飲食店への営業時間の短縮要請などが出された。
5類に引き下げられれば、こうした措置や行政による病床確保、入院調整が無くなり、患者は自治体指定の発熱外来以外の医療機関でも、受診、入院ができるようになる。
一見すると受診先の選択肢が増え、入院の受け入れ先も広がるように感じる。しかし、これまであった医療機関への診療報酬や病床確保料などの優遇措置が徐々に減ることと、院内感染に手を焼いている医療機関は多いこと等から、受け入れ先が減る可能性もある。
感染の流行が始まって3年が経った今、ワクチン接種が広がり、治療薬も続々と登場している。感染拡大予防を目的とする外出自粛や長期の自宅療養などの必要性は薄れてきている。
しかし、不要な受診を減らして医療ひっ迫を防ぐ役割を担っていたPCR検査や、濃厚接触者らへの検査キット配布の無料措置が無くなれば、集団感染が急増する可能性がある。ひとたび集団感染が発生すれば、医療機関や福祉施設の現場は苦境に立たされる。
5類変更によって生じる医療ひっ迫を回避するには、感染の疑いがある人はすぐに検査を受けて自主的に療養することや、万が一症状が悪化した場合はすぐに医療機関に頼れる体制があることだ。
検査や診療、入院にかかる費用の公費負担を継続することで、変更に伴う影響を最小限にとどめられるのではないだろか。
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