小児向けコロナワクチンの安全性
2021-11-26

セルスペクト(株)科学調査班編集
2021年11月26日更新

 

 

 新型コロナワクチンの小児への接種が、米国で始まった。5~11歳を対象としたファイザー製ワクチンが、10月に食品医薬品局(FDA)に承認されたからだ。

 日本では、ワクチン接種対象年齢が、2月に16歳以上、5月に12歳以上と広がっている。

 5~11歳も接種できるよう、ファイザー社日本法人は11月10日に厚労省に承認を申請。承認されれば、成人の投与量の3分の1にあたる10マイクログラム※を、3週間空けて2回接種することになる。

(※マイクログラムは、1gの100万分の1)

 

 

―心筋炎が争点に―

 

 米国では、小児向けワクチン接種の承認にあたり、感染で重症化しやすい(肥満や糖尿病などの)基礎疾患を持つ小児だけでなく、健康な小児も受けるべきかが、論点となった。

 ファイザー社製含め、メッセンジャーRNA(mRNA)という遺伝物質を使ったワクチンによって、心筋炎(心筋の炎症)や心膜炎(心臓の周囲を覆う膜の炎症)が起こるケースがあり、その大半が20代以下の男性だったからだ。

 健康な小児が、心筋炎を起こす可能性が危惧されていた。

 

 

―有効性の実証―

 

 FDAによると、人が心筋炎になる確率は、コロナ感染によって16倍も高まる。さらに、コロナ感染を原因とした(発熱や臓器損傷などが起きる)臓器炎症症候群(MIS-C)の発症は、5~13歳で非常に多い。

 しかし、5~11歳の約4650人を対象にした臨床試験(治験)では、心筋炎や心膜炎の症状は、1件もなかった。

 そのため、ワクチンで心筋炎になるより、ワクチンを打たず感染して重症化する方が、圧倒的にリスクが高いと判断され、全ての小児がワクチン接種をすべきと結論づけられた。

 

 

ー続く感染拡大。ワクチンの効能とはー

 

 新型コロナによる若年層の死亡数は、高齢者ほど多くない。しかし米国では、変異株の蔓延と対面授業の再開が重なり、7月下旬から小児の感染者が急増している。

 パンデミック後、小児の感染者は630万人に上り、11月1日時点で、コロナによる全世界の死亡者数は500万人になった。

 子供、大人問わず感染が広がり続ける中で、安全性が保障された小児向けワクチン。日本での承認は2月頃と言われている。

 当社のコラムを含め、さまざまな文献や論文などから、小児向けワクチンの機能や効果に、理解を深めてほしい。

 

 

引用文献:

  1. Max Kozlov, Oct 27, 2021,“What COVID vaccines for young kids could mean for the pandemic” Nature news
  2. Leah Campbell, Oct 29, 2021, “Everything Parents Need To Know About The Covid-19 Vaccine Trial Results For Kids” Forbes.
  3. Alice Park, Oct 30, 2021, “FDA Authorizes COVID-19 Vaccine for Children 5-11 Years Old” TIME
  4. Samantha Beech, Jake Kwon and Helen Regan. Nov 1, 2021, “Global Covid-19 deaths surpass five million” CNN News.

 

 

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