重症になる遺伝子型発見。NK細胞活性化が策に
2022-07-22

セルスペクト(株)科学調査班編集

2022年7月22日更新

 

 

 新型コロナの感染拡大が始まった当初、重症化に至りやすいのは、高齢者や慢性疾患を持つ人だと言われていた。しかし、致死率の高いデルタ株の蔓延時に、健康な若者も重症化や死亡に至ったことなどから、重症化の要因は、年齢や持病だけではないとわかった。

 

 そんな中、米シェフィールド大学とスタンフォード大学の研究チームが、遺伝子に重症化の要因があると発見。大規模なデータベースとAI(人工知能)を用いて、6月に、重症になる遺伝子型を1000個以上突き止めた。これは、重症化に関連する全ての遺伝子型の75%に相当するという。

 

 

 発見した遺伝子型の特徴は、ウイルスに感染した細胞を破壊するNK(ナチュラルキラー)細胞とT細胞の働きを高める力が弱いこと。

 

 NK細胞は、ウイルスを破壊するだけでなく、感染部分に免疫細胞を集める「サイトカイン」※の生成も促す重要な存在。NK細胞の働きが弱いと、サイトカインが正常に分泌されず、免疫細胞も十分機能しないため、重症化に至りやすくなる。

 

※サイトカインは、ウイルスに感染した細胞が分泌する。

 

 

 がん治療では、がん細胞を死滅させる方法として、NK細胞を活性化させる薬が使われている。新型コロナでも、NK細胞の働きを促す治療法が、重症化や死亡を減らす策となるかもしれない。

 

 

引用文献:

  1. Sai Zhang et al., Jun 3, 2022 “Multiomic analysis reveals cell-type-specific molecular determinants of COVID-19 severity” Cell Syst. PMID: 35690068
  2. Jun 14, 2022 “New research identifies more than 1,000 genes linked to severe COVID-19” The University of Sheffield, News release
  3. Jun 14, 2022, “Researchers identify more than 1,000 genes linked to severe COVID-19”. Stanford Medicine, News.

 

 

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